ヨーロッパの言語学習で一番、難しいかもしれないと言われるのが、「冠詞」です。ネイティブは会話では特に悩む事はないですが、フォーマルな正しい文章を書く時や作文する時は不定冠詞なのか、冠詞なのか、はたまた不定冠詞複数形か定冠詞複数形なのか迷うことがあります。ネイティブでも難しいことがあるとなれば、我々、外国語学習者も当然ながら難しいものです。冠詞についてはケーススタディで学ぶことをお勧めしております。最初から頭でっかちに説明してもすぐに身につくものではないので、少しずつ感覚を習得すれば良いかと思います。本日のケーススタディは…..
「un」それとも「el」?
¿Qué es un año sabático?
¿Qué es el año sabático?
año sabático=「ギャップイヤー」を知らない日本人は最近でも多いかもしれませんね。海外では一般的で、大学に入る前や、卒業した後に仕事に就かずに、一年間、世界中を旅をしたり自分の学びたいことを自由に学んだり遊んだりすることです。日本では「レール」から外れてしまうかもしれないということでネガティブに捉える年代の方もいるかもしれませんが、海外ではそんなことなく、大勢の人が一般的にこのギャップイヤーなるものを過ごしています。
ここで重要なのは海外では誰でもこの言葉を知っている点です。そうでないとまたこの冠詞の問題はかわってしまいます。この問題は英語の冠詞と同じなので、英語が得意な人には簡単かもしれませんね。
正解は「un 」が正しいです。なぜかというと不定冠詞にすると、一般的な意味を問う形となるからです。故に「un」にするることで「(一般的な意味で)ギャップイヤーって何ですか?」という意味になります。これに対する答えはさっき説明したような内容の話になります。(大学に入る前や、卒業した後に仕事に就かずに…..)。
これが「el」だと、「一般的な意味(大学に入る前や、卒業した後に仕事に就かずに…..)はさておき、本質的な意味、本物の意味は何ですか?という意味になります。どちらかと言うと大学の教授やインテリの人が逆説的な意味で、「ギャップイヤーとは何ですか?」と質問する時に「el」を使います。どちらも文法的に間違いはありませんが、ニュアンスはだいぶかわってしまいます。なので単純にギャップイヤーが分からない一般の人には「un」を使うのが正しいのです。
【まとめ】
今回の冠詞については英語が得意な人には簡単でしたね。かなりの部分で英語とスペイン語では冠詞の考え方が似ていますが、冠詞の考え方が異なるケースもあります。これは昔から現代に至るまで英語話者とスペイン語話者がそれぞれ、「冠詞とは何か?」を考えた結果ではないでしょうか?次回以降は2つの言語の冠詞に関する違いをご紹介できればと思います。