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クラウン和西辞典

                     

 

このブログではスペイン語学習で特に「書くこと」について役立つ情報をお届けできればと思っております。まず最初に学習をする上で最初に揃えたいものは、そう辞書ですね。でも数ある辞書の中からどの辞書を選べば良いか分からない方も多いのではないでしょうか?

そんなあなたにまずお勧めしたいのが、なんと他でもない、三省堂から出版されている「クラウン和西辞典」です。初版は2004年で、それまでは白水社から出版された和西辞典しか無く、実用性に優れたものはありませんでした。各なる筆者も、大学に入学したばかりの頃で、第二外国語でスペイン語を選択したものの、なかなか良いものに出会えない時期でした。

何が画期的だったかと言うと「すべてネイティブによる訳語・用例を収録し、インターネットを初めとしたIT関連の用語が豊富でスペイン語の表現が多数収録され発信に重点が置かれている。」点です。辞書を使う上で一番重要なのはやはりなんといっても用例!これが充実していなければインターネットの見出し語のみの辞書と同じになってしまいます。 

この辞書の編集には上田博人さんが大きく関わっています。上田さんは東京外語大でスペイン語を学びスペインへの留学を経て最終的には東大の名誉教授になられた方です。スペイン語の文法書「スペイン語文法ハンドブック」で有名な方です。AMAZONの評価でも星4.5とかなり高い評価を得ています。文法書については後日、別の投稿で詳しくお話したいと思います。

この辞書には上田さんの強い思いがあります。それまでのスペイン語の辞書はスペイン語を読むための辞書でした。日本の外国語教育の弊害とも言えますが、読む偏重の外国語教育が、つい最近まで支配的でした。そんな偏重的な教育を変えたい「表現・発信のための新しいスペイン語辞典」が必要だという強い思いから生まれたのがこの辞書です。

また編集者の方達がこの辞書の序章の結びで「『積極的に話す・書く』という『発信型』のスペイン語をめざす方々に、この辞典がお役に立つことができれば幸いです。」と述べています。この辞書の用例の多さがその思いの強さを伺えます。他の和西辞典ですと見出し語に対して用例が少なかったり(例:見出し語55,000+用例42,000)、多くてもこのクラウンよりかなり少なくなっています。クラウン和西辞典は見出し語3万語に対して用例7万2千となっています。見出し語は3万語は必要にして充分な数です。ピンポイントで対応する語を調べるのであればインターネットで充分です。しかし書くための辞書であればこの用例の多さは大きなアドバンテージとなります。上田さんはあえて必要の無い死語になったような見出し語を除外し、正しく、上手く発信できるようにするために用例を増やしました。

もちろん、書く上でこの辞書で充分というわけではありません。やはり西和辞典も必要になりますし、微妙なニュアンスを突き詰めるために西西辞典も必要になります。ですが、この辞書には他の西和辞典にはない画期的な内容になっていますし、編集者の思いが詰まっています。そんな背景を知って、この辞書を手に取って読み進めると違った何かが見えるかもしれませんね。

インターネットからもAMAZONからも買えるようになっています。中古のものでもかなり状態が良いので「ちょっと高いよ」という方は中古を買われると良いかもしれません。今のところ電子辞書やアプリでは買えないので暫くはこの紙面の辞書に頼るしかなさそうです。